展開地域名: 福島県会津若松市
解決すべき課題
■地方都市における食品流通は、大都市への優先的な供給や一般消費者向け流通サービスの台頭により、地元への流通・供給量が年々減少している。また、地方での農産物流通では、電話やファックスなどアナログな手段を介して取引されているため、実際の供給と需要を定量的に把握することが困難。そのため、実需者は、地元産の新鮮な農産物を手に入れづらく、都市部を経由し入荷される過剰コストのかかった農産物を購入せざるを得ない。
一方、生産者にとっては、こだわりをもって生産した農産物もコモディティ品と一緒に扱われてしまい、都市部への流通コストがかかることを前提にした価格で取引されてしまうため、高収益化へのシフトがしにくいという現状がある。
(TOPPAN「凸版印刷、農産物の地産地消を支援する需給マッチングプラットフォームを開発 農産物需給情報のマッチングプラットフォーム「ジモノミッケ!™」を活用し会津若松市で地域内流通DXの実証実験を開始 2022年7月11日 」より。)
● また、高齢化、低所得、環境の変化等、様々な課題がある中、「儲かる農業」、「魅力ある農業」への転換が求められているが、食農業分野が直面している次のような課題がある:
・地域内の需要と供給の情報が把握できない。
・買い手と売り手のお互いの顔を見えない。
・生産者自身が価値・価格を決めることができない。
・生産者が納得いく鮮度のまま商品を届けにくい。
解決の手法
■凸版 ㈱ が流通の課題に着目し開発した、農産物の生産者と宿泊施設や介護施設、飲食店など地域の顧客(以下、実需者)を専用のアプリ上でつなぎ、生産情報と需要情報をマッチングするプラットフォーム「ジモノミッケ!™」を活用し、このプラットフォームのユーザビリティと事業性を検証する実証実験を福島県会津若松市とその近隣地域で行った(実証実験期間:2022 年 7 月 11 日~9 月 30 日)。本実証実験には、農産物生産者 30 社と、宿泊施設、介護施設、飲食店、食品加工業者、小売店など 30 社が参加した。
本実証実験は、一般社団法人AiCT(読み:アイクト)コンソーシアム「食・農業ワーキンググループ」の活動の一環として行われ、凸版印刷は「地域内流通DXとフードロス削減による農業再活性化プロジェクト」の責任事業者を務める。
(TOPPAN「凸版印刷、農産物の地産地消を支援する需給マッチングプラットフォームを開発 農産物需給情報のマッチングプラットフォーム「ジモノミッケ!™」を活用し会津若松市で地域内流通DXの実証実験を開始 2022年7月11日 」参照。)
●ジモノミッケについて;
・地域内における「生産者」と「実需者」の”売りたい”、”買いたい”をマッチングする地産地消促進サービス。需要と共有情報の可視化からマッチング、マッチング情報の可視化、更には運営を支援する物流や生産関連の機能を備えている。
・仕組み:
・農家が売りたい農産物を出品すると、それを買いたい飲食店等が入札する仕組み。
・飲食店等が欲しい農産物をアプリに登録し、それを提供できる農家が出品することもできる。
(会津若松市公式チャンネル「会津の宝探し∞(アペイロン)Life in AizuWakamatsu「デジタルで人と食と農をつなぐ~新しい農業のカタチ~ 」」参照。)
・マッチング後は、指定日時に専任の配達員が生産者の軒下で農産物を集荷し、AIルーティング機能により算出された最適なルートを通って実需者に納品する。無線通信タグを貼付したコンテナによるトレーサビリティ・温度管理ができる仕組みを導入し、安全な物流体制を構築する(TOPPAN「凸版印刷、農産物の地産地消を支援する需給マッチングプラットフォームを開発 農産物需給情報のマッチングプラットフォーム「ジモノミッケ!™」を活用し会津若松市で地域内流通DXの実証実験を開始 2022年7月11日 」より)。
解決における工夫点
・規格外の農産物でも食品ロスとならず販路拡大に繋がる。
(会津若松市公式チャンネル「会津の宝探し∞(アペイロン)Life in AizuWakamatsu「デジタルで人と食と農をつなぐ~新しい農業のカタチ~ 」」参照。)
事例による成果
● 落札された農産物は農家の自信と仕事の励みに繋がっている(会津若松市公式チャンネル「会津の宝探し∞(アペイロン)Life in AizuWakamatsu「デジタルで人と食と農をつなぐ~新しい農業のカタチ~ 」」参照。)
● 2022 年10 月から会津若松市で実用運用開始、農家 31人と飲食店・宿泊施設等 28 件が取引を始めている(会津若松市「あいづわかまつ市政だより 2023年(令和5年)2月号 No. 1425 」より)。
● 本取り組みは、2022年度 冬のDigi田甲子園、審査委員評価結果で9位に選出された。
事例の継続性
継続運用中
事例の運用期間
2022 年 10 月~継続運用中(実証実験期間は 2022 年 7 月~ 9 月)
参考資料
本事例は、「2022年度 冬のDigi田甲子園 農産物の地産地消を支援する需給マッチングプラットフォーム」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。
■デジタル田園都市国家構想 DIGIDEN
●2022年度 冬のDigi田甲子園
・農産物の地産地消を支援する需給マッチングプラットフォーム
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/koshien_winter/0027.html
・冬のDigi田甲子園 結果発表
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/koshien_winter/index.html
■政府インターネットテレビ
・【凸版印刷株式会社】農産物の地産地消を支援する需給マッチングプラットフォーム
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg26000.html?nt=1
■ジモノミッケ
https://aizu.jimonomikke.com/
■会津若松市
・「スマートシティ会津若松」の実現に向けた取組について 2023年3月10日更新
https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2013101500018/
・あいづわかまつ市政だより 2023年(令和5年)2月号 No. 1425 https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2017032800032/files/20230201all.pdf
■会津若松市公式チャンネル
・会津の宝探し∞(アペイロン)Life in AizuWakamatsu「デジタルで人と食と農をつなぐ~新しい農業のカタチ~ 」
https://www.youtube.com/watch?v=u0iJQ4Givc8
■TOPPAN
・凸版印刷、農産物の地産地消を支援する需給マッチングプラットフォームを開発
農産物需給情報のマッチングプラットフォーム「ジモノミッケ!™」を活用し会津若松市で地域内流通DXの実証実験を開始 2022年7月11日
https://www.toppan.co.jp/news/2022/07/newsrelease220711_1.html
■一般社団法人AiCTコンソーシアム
・会津若松市におけるデジタル田園都市国家構想推進交付金(Type3)採択事業のサービスを先行で一部提供開始 2022年10月31日
https://www.aict.or.jp/blog/type3-34745ed8-a180-471e-8cfa-3ea1c8d2a57a
・会津の宝探し∞(アペイロン)で「ジモノミッケ」が放送されました 2022年11月29日
https://www.aict.or.jp/blog/8bf56c861f7
■PR TIMES
・凸版印刷、農産物の地産地消を支援する需給マッチングプラットフォームを開発
農産物需給情報のマッチングプラットフォーム「ジモノミッケ!™」を活用し会津若松市で地域内流通DXの実証実験を開始 凸版印刷株式会社 2022年7月11日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000977.000033034.html
■JAcom
・農産物の需給マッチングプラットフォーム「ジモノミッケ!」会津若松市で採用 凸版印刷 2022年10月14日
https://www.jacom.or.jp/ryutsu/news/2022/10/221014-62140.php
■LIGARE
・凸版印刷開発の「ジモノミッケ!」、会津若松市の都市OSと連携開始 2022/10/21(金)
https://ligare.news/story/toppan-1021/
関連する図表・動画
● 会津若松市公式チャンネル
・会津の宝探し∞(アペイロン)Life in AizuWakamatsu「デジタルで人と食と農をつなぐ~新しい農業のカタチ~ 」
https://www.youtube.com/watch?v=u0iJQ4Givc8
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