展開地域名: 徳島県
解決すべき課題
■地域公共交通は、人口減少や高齢化に伴う利用者の減少という課題に直面しているが、地域住民にとっては、地域公共交通の維持・確保は不可欠。
● 地域公共交通の活性化に向けて、キャッシュレス対応による利便性向上が期待されているが、地域の交通事業者にとっては導入・維持コストの高さなどが課題。
(KDDI「スマホ1つでバス・鉄道の利用を可能にする実証実験を開始~共同経営区間の利便性向上、路線バスの定期もデジタル化~」より。)
・徳島バスでは、整理券を利用者が確認し、運賃を小銭で支払う運行方法をとっている。しかし、運賃がまず分かりにくい、事前に小銭を用意するのが負担という点があり、キャッシュレス対応を検討してきたが、導入維持コストについて大変苦慮していた。
解決の手法
■KDDI ㈱ は、スマホだけで決済が可能なシステム、「スマホタッチ支払い」の実装を徳島バス ㈱、JR四国(四国旅客鉄道 ㈱)と共同で進めてきた。
● 三者共同で、2022 年 11 月 16 日から 2023 年 2 月 15 日まで、地域住民の日常生活を支える地域公共交通の利便性向上と利用促進を目的とし、「スマホタッチ支払い」を活用し、スマートフォン 1 つで複数の公共交通機関をシームレスに利用可能とする実証実験 を実施。
●「スマホタッチ支払い」のシステムと機能:
・乗車券を購入する必要はなく、バス車内や駅に設置された NFC タグ にスマートフォンをかざすだけで、徳島県南部地域のバスと鉄道のご利用・決済が可能。
・位置情報をもとに自動で運賃を計算し、決裁する。
・利用開始に必要なもの:
スマートフォンでの Apple ID 又は Google アカウントによるサインインと、決済方法(クレジットカード)の登録のみ。アプリのダウンロードやその他の個人情報の入力は不要(JR四国「スマホ 1 つでバス・鉄道の利用を可能にする実証実験を開始~共同経営区間の利便性向上、路線バスの定期もデジタル化~」より )。
❶ バス(徳島バス)の場合の運用:
・KDDI が提供する高精度位置測位サービス対応機器をバスに搭載し、誤差数センチメートルの精度でリアルタイムにバスの正確な位置情報を把握する。
・バスの乗降時に、車内設置の NFC タグにスマートフォンをかざすと、バスの位置情報とスマートフォンの情報がクラウドシステム上で連携し、乗車バス停、降車バス停を推定する。
・乗降バス停情報から区間運賃を計算し、登録されたクレジットカードから運賃が引き落とされる。
❷ 鉄道(JR四国)の場合の運用:
・改札入出時に、駅に設置している NFC タグにスマートフォンをかざすことで乗降した駅を自動で記録し、登録されたクレジットカードから運賃が引き落とされる。
【無人駅】
乗車時:駅設置の NFC タグにタッチ
降車時:列車内またはホームで乗務員にスマートフォンの券面を提示し、駅設置の NFC タグにタッチ
【有人駅】
乗車時:駅設置の NFC タグにタッチ
降車時:駅設置の NFC タグにタッチし、改札の駅係員にスマートフォンの券面を提示
(KDDI「スマホ1つでバス・鉄道の利用を可能にする実証実験を開始~共同経営区間の利便性向上、路線バスの定期もデジタル化~」、JR四国「スマホ 1 つでバス・鉄道の利用を可能にする実証実験を開始~共同経営区間の利便性向上、路線バスの定期もデジタル化~」参照。)
● 本実証実験は、徳島県の公共交通スマート利用応援事業補助金 (DXによる利用促進・生産性向上等補助金)を活用(KDDI「スマホ1つでバス・鉄道の利用を可能にする実証実験を開始~共同経営区間の利便性向上、路線バスの定期もデジタル化~」より)。
解決における工夫点
・スマホタッチ支払いの開発に際しては、ステークホルダーから現状や課題などを伺い、必要な機能、スペックなどを策定した。
・乗客がスマホタッチを使ったかどうかのスマホ画面をチェックする乗務員の負担軽減を図るべく、乗務員端末 (タブレット) を利用した通知システムを開発。乗客がスマホで NFC タグにタッチするごとに、タブレット上に音と画面表示で通知する。
(KDDI「「徳島MaaS」が目指す地域公共交通ネットワークの再生キャッシュレスの利便性を低コストで実現した「スマホタッチ支払い」」参照。)
事例による成果
● 次のような好評を得た:
・ 徳島バス関係者:交通ICカードよりもコストを抑えており、事業者としても導入しやすいと感じている。
・ 徳島県関係者:システムの使用感はずいぶん改善されてよくなった。
(KDDI「徳島MaaS」が目指す地域公共交通ネットワークの再生キャッシュレスの利便性を低コストで実現した「スマホタッチ支払い」より。)
● 本取り組みは、2022年度 冬のDigi田甲子園、審査委員評価結果 9 位に選出された。
事例の継続性
運用停止
事例の運用期間
2022 年 11 月 16 日~2023 年 2 月 15 日
参考資料
本事例は、「2022年度 冬のDigi田甲子園 「スマホ1つでバス・鉄道を利用可能に」~地域交通DXを支援~」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。
■デジタル田園都市国家構想 DIGIDEN
●2022年度 冬のDigi田甲子園
・「スマホ1つでバス・鉄道を利用可能に」~地域交通DXを支援~
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/koshien_winter/0014.html
・冬のDigi田甲子園 結果発表
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/koshien_winter/index.html
■政府インターネットテレビ
・【KDDI株式会社】「スマホ1つでバス・鉄道を利用可能に」~地域交通DXを支援~
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg25987.html?nt=1
■KDDI
・スマホ1つでバス・鉄道の利用を可能にする実証実験を開始~共同経営区間の利便性向上、路線バスの定期もデジタル化~ 2022年11月9日
https://www.kddi.com/corporate/sustainability/regional-initiative/pressrelease/20221109/
・「徳島MaaS」が目指す地域公共交通ネットワークの再生キャッシュレスの利便性を低コストで実現した「スマホタッチ支払い」 2023 3/1
https://biz.kddi.com/beconnected/feature/2023/230301/
■徳島バス
・スマホタッチ支払い実証実験
https://www.tokubus.co.jp/maas/
(2023/8/29現在非表示)
・ご利用方法
https://www.tokubus.co.jp/maas/guide.html
(2023/8/29現在非表示)
■JR四国
・スマホ 1 つでバス・鉄道の利用を可能にする実証実験を開始~共同経営区間の利便性向上、路線バスの定期もデジタル化~ 2022 年 11 月 9 日
https://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2022%2011%2009.pdf
■朝日新聞デジタル
・スマホタッチでバス乗車 徳島バスなど運賃決済の実証実験中 2021年11月6日
https://www.asahi.com/articles/ASPC56TD5PBRPTLC01B.html#:~:text=%E3%83%90%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%9B%E3%82%BF%E3%83%83%E3%83%81%E3%81%A7%E3%81%AE,%E3%81%AB%E8%A8%88%E7%AE%97%E3%80%81%E6%B1%BA%E6%B8%88%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82
■NHK WEB
・徳島 NEWS WEB 運賃一体運用のJR四国と徳島バス スマホ決済の実証実験 11月16日
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tokushima/20221116/8020016153.html
関連する図表・動画
●デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
・14.【KDDI株式会社・徳島県】「スマホ1つでバス・鉄道を利用可能に」〜地域交通DXを支援〜
https://www.youtube.com/watch?v=4_-4HRWLFvw
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