株式会社天地人「衛星データを活用した「宇宙ビッグデータ米 宇宙と美水」の開発」

展開地域名: 富山県

分野:
農林水産業支援
キーワード:
自動化
業務効率化
ワークフロー
AI
IoT
スマホアプリ活用
宇宙ビッグデータ

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解決すべき課題

■農業現場では地球温暖化による予期せぬ高温障害の発生や、高齢化による生産者減少に伴う労働力の不足が課題となっており、農家の勘だけに頼らない米の生産技術の確立や、労力削減につながるソリューションが求められている。
(PUBLIC RELATIONS OFFICE GOVERNMENT OF JAPAN「宇宙データの活用で効率的に米を栽培」参照。)

● 農林水産省が行った調査では、農業就業人口は 2020 年に 136.1 万人。2015 年より約 40 万人も減っており、この減少は今後も続いていくことが予想されている。
(PR TIMES「JAXAベンチャー 天地人、「宇宙ビッグデータ米」の栽培と収穫が完了。宇宙から米作りに最適な土地を探し栽培した米を12月より販売開始」より。)

解決の手法

■JAXA認定の宇宙ベンチャー ㈱ 天地人は、㈱ 神明、㈱ 笑農和と将来的なコメの生産増につながる農業施策として、3 社の強みを活かし宇宙の技術を活用した農業を確立するプロジェクトを立ち上げる。気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)から得られる膨大なデータを活用して課題解決を試みる。

(PR TIMES「JAXAベンチャー 天地人、「宇宙ビッグデータ米」の栽培と収穫が完了。宇宙から米作りに最適な土地を探し栽培した米を12月より販売開始」、PUBLIC RELATIONS OFFICE GOVERNMENT OF JAPAN「宇宙データの活用で効率的に米を栽培」、JAXA「宇宙ビッグデータ米事業​ 株式会社天地人​」、「気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)」参照。)

● 日本の米の品種は、主食にするものだけでも約 300 種類あり、それぞれ栽培に適した気象条件は異なるため、衛星が観測した気温や降水量、地表温度などの膨大なデータを解析して、それぞれの品種を栽培するにはどの地域の農地が最適なのかを探し出す。

● ㈱ 笑農和が持っている富山県の圃場から、 ㈱ 天地人の土地評価エンジン『天地人コンパス』を用い、衛星による気象情報、地形情報等の宇宙ビッグデータを活用して米の品種と栽培場所の最適なマッチングを行う。収穫量が増える、より美味しく育つ可能性のある圃場を選出。

● 2021 年に契約農家による稲の栽培を開始。手間のかかる水管理は、農家自信ではなく、㈱ 笑農和のスマホで水管理を自動化できる『paditch(パディッチ)』を活用。 夜間の冷たい水を何時間取り入れることが水温に影響を与えるかを意識し、自動制御を行なった。 農地に適した品種の稲を安定して生育できるため、収穫される米の品質も高いものとなる。

(PR TIMES「JAXAベンチャー 天地人、「宇宙ビッグデータ米」の栽培と収穫が完了。宇宙から米作りに最適な土地を探し栽培した米を12月より販売開始」、PUBLIC RELATIONS OFFICE GOVERNMENT OF JAPAN「宇宙データの活用で効率的に米を栽培」参照。)


【天地人コンパス】:

・高精度・高分解能な地球観測衛星データと AI を活用し、土地のポテンシャルを最大限に活かすための分析・評価サービス。農業生産では、「ポテンシャル名産地の発掘」をスローガンとしており、既に持っている農地で従来の作物を作るのではなく、「この作物を作るならどこが最適か?ここの土地で作るならどの品種が最適か?」の問いに答える。

・作物には、それぞれ年間を通じて最適な雨量、温度、日射量、さらにはそれらの組み合わせによる病害虫のリスクが存在する。土地ポテンシャル・リスクを天地人コンパスで可視化することで、大規模事業者の経営支援や、休耕地・耕作放棄地の価値見直しを図る新たなソリューション。

(S-NET「土地の持つポテンシャルを衛星データ解析で高める。S-Booster発の衛星データ解析企業「天地人」 株式会社天地人 櫻庭 康人」、株式会社天地人 動画「【JAXAベンチャー天地人主催】宇宙ビッグデータxスマート農業の可能性~成長産業を味方にする!次世代米作りの3社共創事例」参照。)


【paditch(パディッチ)の主な機能】:

・水門・バルブの開閉がスマホで遠隔制御ができる(PC・タブレットも可)。

・指定の水位や水温を設定しておく事でパディッチが自動で水位・水温制御する。

・水門・バルブの開閉をあらかじめタイマーで設定が可能。深夜の水入れ・朝方の水止めも手軽に設定可能。

(株式会社 笑農和 paditch公式ページ参照。)

解決における工夫点

栽培中は、JAXA の気象変動観測衛星しきさい(GCOM-C)や、米国の中分解能撮像分光放射計(MODIS)の観測データから水田の水温情報を作成し水稲の水温管理に役立てた。

事例による成果

■水稲栽培の水温管理への衛星データの活用や、自動水門開閉技術と連携して農作業の省力化を実現しており、農業分野への宇宙関連技術の新たな利用可能性を創造した。

● 元来農家による水田の水温管理をシステムが管理することにより、農作業にかかる労力の大幅な節減につながった。

● システム管理の下で育てられた米は 2021 年秋に初めて収穫され、同年 12 月より、「宇宙ビッグデータ米」として神明の直営店『米処四代目 益屋』と、JAXAグッズ、宇宙食・宇宙グッズ販売をしている『宇宙の店』で順次販売開始した。
(PUBLIC RELATIONS OFFICE GOVERNMENT OF JAPAN「宇宙データの活用で効率的に米を栽培」、PR TIMES 「JAXAベンチャー 天地人、「宇宙ビッグデータ米」の栽培と収穫が完了。宇宙から米作りに最適な土地を探し栽培した米を12月より販売開始」より。)

● 専門家から「タンパク値や水分値などから計られる食味値(※)からみても、収穫量も、期待以上の米ができた」と品質の高さが評価され、一般消費者からも「ふっくらして食感がよく、とてもおいしい」といった反響があり、発売間もなく倉庫の在庫がなくなってしまうほど好評。米の高付加価値化に貢献した。

※食味値:お米の中に含まれるタンパク質やでんぷんの量、水分の量などの成分を計測・分析し、おいしさを 100 点満点で数値化したもの。

(PUBLIC RELATIONS OFFICE GOVERNMENT OF JAPAN「宇宙データの活用で効率的に米を栽培」参照。)

● 本取り組みは、第五回宇宙開発利用大賞(内閣府主催)で農林水産大臣賞を受賞(2022 年3 月)

事例の継続性

継続運用中

事例の運用期間

2021 年 5 月~継続運用中

参考資料

本事例は、「内閣府 第五回宇宙開発利用大賞受賞事例集」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。

■内閣府 

●第五回宇宙開発利用大賞
https://space-award.jp/

・第五回宇宙開発利用大賞受賞事例集
https://space-award.jp/wp-content/themes/space-award/pdf/all.pdf

・農林水産大臣賞 衛星データを活用した「宇宙ビッグデータ米 宇宙と美水」の開発
https://space-award.jp/wp-content/themes/space-award/pdf/6_maff.pdf

■PUBLIC RELATIONS OFFICE GOVERNMENT OF JAPAN

・宇宙データの活用で効率的に米を栽培
https://www.gov-online.go.jp/eng/publicity/book/hlj/html/202206/202206_10_jp.html

■農林水産省

・「第5回宇宙開発利用大賞」農林水産大臣賞受賞者が決定しました 令和4年3月15日
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo03/220315.html

■Tenchijin
https://compass.tenchijin.co.jp/

・宇宙から一歩先を行く企業の意思決定を加速するデジタル地球儀
https://compass.tenchijin.co.jp/

・宇宙からの視点であなたの意思決定をナビゲートする天地人コンパスAPI
https://tenchijin.co.jp/compass-api/

・JAXAベンチャー 天地人、衛星画像から高精度で漏水可能性区域を判定する実証実験の中間報告のお知らせ 2022-12-26 
https://tenchijin.co.jp/pressrelease/1324/

・「宇宙ビッグデータ米」の栽培と収穫が完了。神明の直営店とJAXAの宇宙グッズ等の販売店で販売開始 2021-12-03 
https://tenchijin.co.jp/pressrelease/664/

・【JAXAベンチャー天地人主催】宇宙ビッグデータxスマート農業の可能性~成長産業を味方にする!次世代米作りの3社共創事例
https://www.youtube.com/watch?v=bKBuQ5EgcO0

■JAXA

・宇宙ビッグデータ米事業​ 株式会社天地人​
https://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/projects/tenchijin/

・気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)
https://www.jaxa.jp/projects/sat/gcom_c/

・JAXAが出資!第一号は宇宙ビッグデータを活用した「天地人コンパス」を柱に世界進出中の「天地人」に 2023.02.3 
https://aerospacebiz.jaxa.jp/topics/news/20230203-investment/

■株式会社 笑農和
https://enowa.jp/

・会社情報
https://enowa.jp/%e4%bc%9a%e7%a4%be%e6%a6%82%e8%a6%81

・スマート農業
https://enowa.jp/%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E8%BE%B2%E6%A5%AD

・Paditch
https://paditch.com/?utm_source=enowasmartweb&utm_medium=web&utm_campaign=home

■株式会社神明
https://www.akafuji.co.jp/

・会社情報
https://www.akafuji.co.jp/company/about.html

■S-NET

・土地の持つポテンシャルを衛星データ解析で高める。S-Booster発の衛星データ解析企業「天地人」 株式会社天地人 櫻庭 康人
https://s-net.space/special/frontrunner/40.html

■PR TIMES

・JAXAベンチャー 天地人、内閣府 宇宙開発戦略推進事務局「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」の成果報告のお知らせ 株式会社天地人 2023年3月28日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000065.000045963.html

・JAXAベンチャー 天地人、「宇宙ビッグデータ米」の栽培と収穫が完了。宇宙から米作りに最適な土地を探し栽培した米を12月より販売開始 株式会社天地人 2022年12月12日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000045963.html

・JAXAベンチャー 天地人、内閣府の「宇宙開発利用大賞」で農林水産大臣賞を受賞! 株式会社天地人 2022年3月18日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000045963.html

■安心のNOSAI

・IoT水門機器を導入 水田の水管理を遠隔操作【富山県 7月3週号】
http://www.nosai.or.jp/mt6/2018/07/post-4678.html

関連する図表・動画

●株式会社天地人
・天地人コンパス/Tenchijin COMPASS Introduction Movie
https://www.youtube.com/watch?v=uA44Hnl042c

事例に関する問い合わせ先

株式会社天地人
E-mail: info@tenchijin.co.jp 

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