大分県「災害時におけるドローン物流実証と本格実用」

展開地域名: 大分県

分野:
物流
防災
キーワード:
自動化
業務効率化
ワークフロー
IoT
ドローン

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解決すべき課題

■大分県日田市では近年度重なる豪雨被害に見舞われている。

● 平成24年九州北部豪雨では大分県日田市内を流れる花月川の堤防が決壊し、洪水被害が発生した。花月川に隣接する日田市内秋山町では外部からのアクセスが不可能となる「孤立地域寸前」の状態にまで危機が迫った。

● 九州北部豪雨などの大規模災害時には、孤立集落の安否確認や救援物資運搬に多大な時間を要しており、災害時に孤立地域が発生した場合の迅速且つ安全な対応が求められるなか、ドローンによる救援物質の輸送に期待が高まった。

(大分県商工観光労働部新産業振興室「【R4年度】災害時におけるドローン物流の地域実装に向けて関係機関と連携した公開訓練」参照。)

解決の手法

■大分県は、ドローン活用による救援活動の早期化と作業負担軽減を検証するべく、ノーベル㈱、㈱オーイーシー、日本赤十字社大分県支部、日田玖珠広域消防組合消防本部、大分大学医学部附属病院、日田市と連携し、災害時を想定した救援物資及び医薬品をドローンで配送する実証実験を住民参加型で令和 5 年 2 月 18 日に実施した。

実証実験では、自然災害による住民孤立を想定し、以下の実証を行った:

(1) 空撮用ドローンによる被災状況調査を行い孤立地域の確認

(2) 重量物搬送用ドローンによる救援物資や遠隔診療システムなどの搬送

(3) 地域の診療所による避難住民を対象とした遠隔診療

(4) 軽量物搬送用ドローンによる医薬品配送


<想定した具体的な災害状況>

・日田市で集中豪雨が発生。花月川流域の夕田橋が氾濫危険水域を超過し、夕田橋の横断が困難。

・日田市秋山町の南側、県道 48 号に通ずる上手水目線のトンネル入り口で土砂崩れも発生。

・一部住民については指定避難所への避難が困難なため、公民館に避難。

・住民孤立が発生し、陸路による救援物資輸送が不可能。

・ヘリコプターが離着陸できる十分な広さ(スペース)がない。


● 実証経過:

① ドローンによる被災状況調査:

 消防本部のドローン隊が災害調査を実施し、救援を求める住民の存在を確認した。

② 救援物資や遠隔診療端末のドローン搬送:

 消防本部からの孤立発生報告に基づき、日田市が救援物資及び遠隔診療端末の搬送を ㈱ ノーベルに要請し、重量物搬送ドローンを使用し吊下げ搬送を行った。

③ 住民による受取・安否確認 :

 配送した救援物資は住民が受け取りを行った。

④ 遠隔診療の実施:

 大分大学医学部附属病院臨床薬理センター監修の下、㈱ オーイーシーの遠隔診療システムを用いて日田市医師会(隈診療所)の医師による遠隔診療を実施した。

⑤ 医薬品配送の実施:
 
 医薬品配送の実施 LTE 回線を使用したドローンの全自律航行と自動着陸誘導システムによって、診療に基づいた医薬品配送を実施した。

● 本実証実験は令和 4 年度大分県ドローン物流地域実装モデル構築推進事業を活用した取り組み。

● 令和 5 年 6 月 30 日からの大雨により、由布市湯布院町川西地区では大規模な地すべりが起こるとともに、孤立世帯が発生した。令和 5 年 7 月 1 日に、大分県と大分県ドローン協議会の間で締結した「災害時のドローンによる緊急被災状況調査に関する協定(令和 5 年 3 月 9 日締結)」に基づき、㈲ 佐藤鉄工による緊急被災状況調査を実施するとともに、県内ドローンメーカー、ciRobotics ㈱ の機体を用いて、県内ドローン運航事業者の ㈱ ノーベルが運航を行い、孤立世帯への救援物資配送を行った。

・本協定に基づく、緊急被災状況調査は初めての事例。また、県内の実災害でのドローンによる救援物資配送についても初事例となるとともに、県内事業者のみで救援物資配送を行ったのは全国初であり、発災直後に対応した事例も全国初となる。

(大分県「令和5年6月30日から続いた大雨での災害現場でドローンによる緊急被災状況調査及び救援物資配送を実施しました」参照。)

事例による成果

■実証結果(令和 5 年 2 月):

● 様々な用途のドローンを組み合わせて用いることで、要請を待たず必要とされる物資を輸送するプッシュ型支援から、避難所から要請された物資を輸送するプル型支援までの一連のオペレーションが可能であることを実証し、救援の早期化や現場負担の軽減が期待できることが確認できた。

■実用効果(令和 5 年 7 月):

● 緊急被災状況調査の効果

・雨で防災ヘリが出動できない中、ドローンによる緊急被災状況調査の映像は、由布市、由布市消防本部、大分県警察本部をはじめ、関係機関に共有し、その後の災害対策の検討に活用された。

・マスコミ各社に提供することで被害の甚大さを県民の皆様にお伝えし、早期避難等の働きかけを行うことができた。

・また、目視では確認できない裏側の地すべりの発見にも繋がった。

● 孤立世帯への救援物資配送の効果

・通信状況が悪く、携帯電話も通じにくい中、 無線電話、衛星電話及び食料品を配送することで被災者との連絡手段の確保等に繋がった。

・斜面や草木が生い茂る道なき道を開拓しながら消防本部が約 2 時間をかけて孤立地域へたどり着くところ、ドローンでは 3 分で救援物資の配送を行うことができた。

● 本実用の取り組みは「Digi田(デジでん)甲子園2023」は「地方公共団体部門」にてベスト 4、「インターネット投票結果」では「地方公共団体部門」にて 2 位を取得。

事例の継続性

継続運用中

事例の運用期間

令和 5 (2023) 年 2 月~継続運用中

参考資料

本事例は、「大分県 災害時におけるドローン物流の地域実装に向けて関係機関と連携した公開訓練を実施しました」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。

■大分県

・災害時におけるドローン物流の地域実装に向けて関係機関と連携した公開訓練を実施しました ページ番号:0002129937 更新日:2023年3月6日更新
https://www.pref.oita.jp/soshiki/14240/r4drone-poc05.html

 ープレスリリース 災害時におけるドローン物流の地域実装に向けて 関係機関と連携した公開訓練を実施しました 令和5年3月6日
https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2178256.pdf

・大分県の災害時におけるドローン活用の取組が Digi田(デジでん)甲子園2023で表彰されました ページ番号:0002257130 更新日:2024年3月7日更新
https://www.pref.oita.jp/soshiki/14240/digidenkekka.html

 ープレスリリース お知らせ 大分県の災害時におけるドローン活用の取組が Digi 田(デジでん)甲子園2023で表彰されました 令和6年3月7日
https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2208733.pdf

・令和5年6月30日から続いた大雨での災害現場でドローンによる緊急被災状況調査及び救援物資配送を実施しました 更新日:2023年7月18日更新
https://www.pref.oita.jp/soshiki/14240/saigaidrone.html

・「災害時のドローンによる緊急被災状況調査に関する協定」に基づく活動を開始します
ページ番号:0002227277 更新日:2023年6月1日更新
https://www.pref.oita.jp/soshiki/14240/kyoteikaishi.htm

■デジタル田園都市国家構想 DIGIDEN

● 2022年度 冬のDigi田甲子園

・Digi田(デジでん)甲子園2023 結果発表
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/koshien/kekka/2023/index.html

関連する図表・動画

● 大分県商工観光労働部新産業振興室
・【R4年度】災害時におけるドローン物流の地域実装に向けて関係機関と連携した公開訓練
https://www.youtube.com/watch?v=Ev-2kE-yXE0

・災害時のドローン活用の取組(大分県・大分県ドローン協議会)
https://www.youtube.com/watch?v=bzrHCV6YaMU

事例に関する問い合わせ先

新産業振興室

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