岩手県陸前高田市「自動音声電話とAIを活用して災害時の安否確認と情報伝達を効率化」

展開地域名: 岩手県陸前高田市

分野:
防災
デジタルデバイド解消
キーワード:
自動化
業務効率化
ワークフロー
コミュニケーションツール
AI
IoT

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解決すべき課題

■本市では、避難行動要支援者や災害時孤立化想定地域居住者への災害時における避難情報の確実な情報伝達について、防災行政無線を補完する新たなシステムを検討していた。

● これまでは、防災行政 無線を用いて避難指示等を行なっていたが、豪雨時に音が聞き取りにくい、山間地域まで音が届きにくいといった状況があり、自主防災組織や自治会の担当者が、住民との連絡が取れない場合 に各戸を回って安否確認を行っていた。しかし、この方法は安否確認に時間と労力を要する上に全世帯に連絡するのは不可能であり、住民一人ひとりの安否を確認する上で大きな課題があった。

● また、災害時における安否確認に、災害対応で職員の人員が割かれる中で実施する必要があることから、業務の省力化が求められていた。

(東日本電信電話株式会社(NTT東日本) 岩手支店 「陸前高田市様にて自動音声一斉配信システム「シン・オートコール」の本格運用を開始 ~防災・減災対策としての導入は全国初~ 」参照。)

解決の手法

■令和 5 年 11 月に、クラウド・AI技術と電話を組み合わせた自動音声一斉配信システム、「シン・オートコール」(東日本電信電話 ㈱ 岩手支店提供)の運用を開始した。防災の分野で本システムを本格運用するのは、陸前高田市が全国初。

● 本システムは、台風や大雨などの災害発生の恐れがあるときに、事前に登録した連絡先へ一斉に電話をかけたり、SMSを送付したりすることができる。黒電話にも対応しているため、高齢者世帯やスマートフォンなどを持たない住民も含め、必要な情報を即時に届けることができる。

・ 避難情報が自動音声で流れ、「避難できますか」などの問いに、口頭で「はい」「いいえ」などと答えると、AI が文字に変換。災害対策本部にデータが集められる。「いいえ」を回答した場合は、次に症状を質問するといった双方向のやり取りを実現する。AI が判読して文章化されたものはクラウド上に保存され、市の担当者はパソコンで結果を把握することができる。

・ また、最新の対話 AI を活用することで、住民からの「もう一度」などという言葉も認識。加えて、住民からの音声回答をテキスト化し、「痛い」といった言葉が含まれていると、その箇所を 赤字表記して危険な状況を迅速に把握し、次の対応に繋げることが可能。

● 災害対策本部などを設置した際での、職員用の参集を呼びかける際の一斉連絡ツールとしても活用。どの職員がどう来れるか、その職員の周囲で問題が起こってないか等の情報収集が可能。

<シン・オートコール>

 最新のクラウド(AWS)・AI 技術と、住民が使い慣れた「電話」を組み合わせた 双方向通信サービス。自治体等が「シン・オートコール」の操作画面上で登録した情報について、登録されている連絡先に一斉に電話をかけたり、SMSを送付することが可能。クラウドを活用したサー ビスであることから、SMSで情報を送付する場合は、チャットやSNS、地図情報などの連携も可能。

(IBC岩手放送「全国初の「シン・オートコール」とは? この12年あまりで進んだデジタル技術を防災に活用 “世界津波の日”の避難訓練で実践 岩手・陸前高田市 宮古市ではドローンの災害時利用の動きも【復興への羅針盤】」、IAT岩手朝日テレビ「AIが方言を判読!?「声で完結」最新技術を防災に 陸前高田市の現状と可能性【Jチャンいわて動画」、PR TIMES「陸前高田市様にて自動音声一斉配信システム「シン・オートコール」の本格運用を開始~防災・減災対策としての導入は全国初~ 」、マイナビニュース「陸前高田市とNTT東日本の二人三脚で開発した防災・減災対策システム - 「シン・オートコール」はいかに開発されたか」参照。)

● 本システムの経費:

・イニシャルコスト 1,810 千円(内訳:システム構築委託料)
・ランニングコスト 年間 1,793 千円 (税抜)( システム保守管理 960 千円・ システム通信料 833 千円)
 ※備考:通信料は、対象者 300 人に対して、大雨による避難指示 2 回、津波警報発表による安否確認 1 回を実施することを想定して措置
・令和 5 年度事業費 2,940 千円

解決における工夫点

・携帯電話を所持しない、またはスマートフォンを自由に使いこなせない高齢者等にも使いやすいよう、音声のみの応答で完結できる設計にした。

・岩手弁の会話内容を岩手弁としてAIに読み込ませ、標準語ではなんと言っているか推察して記載するように指示を出し、方言にも対応するようにしている。

事例による成果

● 本システム運用後に災害が発生していないことから、実運用には至っていないが、確実な避難情報の伝達が行われるとともに、安否確認において従事する職員の業務量の減少が見込まれている。

● 本事業の導入により、庁内においてデジタル技術を積極活用することへの機運が高まっている。

● 本システムの運用開始により、安全・安心な防災のまちづくりが進み、住民から高評価を得ている。

・実際に避難訓練でシステムを運用したところ、住民の方から好評であった。
(マイナビニュース「陸前高田市とNTT東日本の二人三脚で開発した防災・減災対策システム - 「シン・オートコール」はいかに開発されたか」参照。)

● マスコミ等にも広く取り上げられたこともあり全国の自治体等から本システムへの問合せや視察が増えている。

事例の継続性

継続運用中

事例の運用期間

2023(令和 5)年 11月~継続運用中

参考資料

本事例は、「総務省 地域社会のデジタル化に係る参考事例集[第3.0版]」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。

■総務省 

・地域社会のデジタル化に係る参考事例集[第3.0版]
https://www.soumu.go.jp/main_content/000951016.pdf

■岩手県陸前高田市

・令和5年度津波避難訓練 更新日:2023年10月19日
https://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/soshiki/bosaika/bosai_shobo/1_1/6803.html

・陸前高田市災害時双方向情報伝達システム要綱
https://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/section/reiki/reiki_honbun/c111RG00000626.html

■東日本電信電話株式会社(NTT東日本) 岩手支店

・陸前高田市様にて自動音声一斉配信システム「シン・オートコール」の本格運用を開始 ~防災・減災対策としての導入は全国初~  2023 年11月2日
https://www.ntt-east.co.jp/iwate/information/detail/pdf/20231102_01.pdf

■AWS

・陸前高田市、電話による災害時の情報伝達・安否確認システムに AWS を活用し、住民の自助を支援する新たな防災の未来へ 2023年
https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/rikuzen-takata/

■PR TIMES

・陸前高田市様にて自動音声一斉配信システム「シン・オートコール」の本格運用を開始~防災・減災対策としての導入は全国初~ 東日本電信電話株式会社 2023年11月2日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000827.000098811.html

■マイナビニュース

・陸前高田市とNTT東日本の二人三脚で開発した防災・減災対策システム - 「シン・オートコール」はいかに開発されたか 2024/03/11
https://news.mynavi.jp/article/20240311-2882270/

■IAT岩手朝日テレビ

・AIが方言を判読!?「声で完結」最新技術を防災に 陸前高田市の現状と可能性【Jチャンいわて動画
https://www.youtube.com/watch?v=lUoWZL3nxNY

■IBC岩手放送

・全国初の「シン・オートコール」とは? この12年あまりで進んだデジタル技術を防災に活用 “世界津波の日”の避難訓練で実践 岩手・陸前高田市 宮古市ではドローンの災害時利用の動きも【復興への羅針盤】 2023年11月8日
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/ibc/823614?display=1

■岩手日報

・陸前高田市が全国初運用 災害時の双方向情報伝達システム 2023.11.02
https://www.iwate-np.co.jp/article/2023/11/2/152999

■読売新聞オンライン

・全国初、災害時に自動電話+AIで安否確認…陸前高田市の新防災システム、11月から本格運用へ 2023/10/14 05:00
https://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/news/20231013-OYTNT50145/

関連する図表・動画

● IAT岩手朝日テレビ
・AIが方言を判読!?「声で完結」最新技術を防災に 陸前高田市の現状と可能性【Jチャンいわて動画】
https://www.youtube.com/watch?v=lUoWZL3nxNY

事例に関する問い合わせ先

陸前高田市防災局防災課
Tel: 0192-54-2111(内線701)
E-mail: bousai@city.rikuzentakata.iwate.jp

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