京都府「ひきこもり状態など就職が難しい方等を対象にしたオンラインでの就労支援」

展開地域名: 京都府

分野:
福祉
孤独・孤立対策
キーワード:
人材育成
コミュニケーションツール
IoT

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解決すべき課題

■近年、少子・高齢化や人口減少が進み、単身世帯が増加する中、地域住民が抱える課題は多様化・複合化しており、地域福祉を取り巻く環境は、大変厳しい状況にある。また、コロナ禍により、人と人とのつながりの希薄化、地域の担い手不足が進み、これまで地域社会が担ってきた支え合いや助け合いなどの機能の弱体化に繋がっている。加えて、孤独・孤立を感じる人が増えるなど、地域福祉を取り巻く課題が一層顕在化している。

● こうした状況のなか、今やひきこもりは当事者や家族だけの問題のみならず、社会全体で取り組むべき喫緊の課題となっている。また、ひきこもりの課題は、青少年特有の課題として捉えられてきたが、近年ひきこもり状態の長期化などにより、高齢の親とひきこもり状態にある子が同居する8050(はちまるごーまる)問題などの全年齢に生じる課題として認識されてきている。

● 2022(令和4)年に内閣府が調査した結果によると、全国の 15 ~ 64 歳のうち、ひきこもり状態にある方は約 146 万人であり、現在の状況になったきっかけとしては、「退職したこと」が最も多く、「新型コロナウイルス感染症が流行したこと」も 2 割程度となっている。内閣府調査の全国推計数を基に、京都府の人口ベースで算出(全国人口の 2 %)すると、京都府のひきこもり状態にある方は約 2 万 9 千人と推計される。 国の調査とは別に、府が2017(平成 29)年に民生児童委員や民間支援団体の協力により実施した訪問調査等によると、1,134人のひきこもり状態にある方を把握した。

● 深刻な悩みを持つ方やひきこもり状態にある方の支援には、地域の見守りと合わせて、専門的な支援機関との連携が求められる。また、社会的つながりが少ないことや身体的・精神的疾患、家庭の不和、生活困窮など複合的な悩みを抱えていることが考えられるため、市町村や民間の支援団体など身近な地域で支援を受けることができるよう地域ネットワークづくりが重要。ひきこもりの早期把握・早期支援から、社会適応訓練、自立までの一体的な支援が必要とされる。

(京都府「第4次京都府地域福祉支援計画」、京都市「京都市におけるひきこもり支援の 在り方について (意見具申)」参照。)

解決の手法

■令和 2 (2020) 年 6 月 15 日に、ひきこもりなど福祉的支援のステージにある方に対し研修等を通して就労準備性を高め、社会参加に結びつけるための窓口「京都府つながる・学ぶ・働く支援センター『Lコネクト』」を開設。『L コネクト』とは「つながる(on Line)、学ぶ(Lesson)、働く(Labor)」の3つの事業の柱によって、社会と人、福祉と就労、仕事と⼈材を繋げるという意味を表すもの。

● 就職氷河期世代のうちひきこもりの状態にある要支援者や、その家族・保護者、福祉関係機関・団体、企業等、就職氷河期世代への支援に関わる全ての人・団体を対象とした相談窓口を設置するとともに、要支援者が自宅にいながらでも就労に向けた準備性が高められるような手法での研修等を実施することで、要支援者が無理なく自己の適性に応じた社会参加や働き方を実現できるよう支援することを目的とする。

● 本窓口では、対象者が来所せずともオンラインで相談でき、また、自宅にいながら受講が可能なオリジナルのオンライン研修を提供し、対象者が自己の適性や希望に応じた無理のない方法で社会とつながり、学び、就労に向けた意欲を高められるよう支援する。

(京都府「令和3年度「京都府つながる・学ぶ・働く支援センター運営事業」 企画提案仕様書 」、「 就職が難しい方への就業支援について【担当省庁】厚生労働省」、L コネクト「Lコネクトとは」、PR TIMES「ひきこもり状態にある就職氷河期世代の方などを対象とした専用相談窓口の開設について」参照。)

【京都府つながる・学ぶ・働く支援センター「Lコネクト」の機能】

 ① アウトリーチによる誘導から相談対応や研修実施など個々人の状態に応じたきめ細かな支援(相談機能)

 ② 要支援者のみならず、保護者や支援機関などを含めた幅広い支援やつながる機会(相談窓口や居場所、セミナー等)の提供(アドバイス機能)

 ③ 複数支援機関との連携による支援機関同士の支援ネットワーク構築(ネットワーク機能)

 ④ 在宅でも受講可能な双方向のオンライン研修、在宅ワーカー養成研修、WEB 研修センターへの誘導等、多様な支援コンテンツの提供(何でもオンライン機能)

 ⑤ 研修受講後には在宅ワークなどを含む多様な働き方の提案・実践までの出口支援を用意(就労支援機能)

・対象者:就職氷河期世代のうちひきこもりの状態にある方等及びその保護者・家族、福祉関係機関・団体、企業

(PR TIMES「ひきこもり状態にある就職氷河期世代の方などを対象とした専用相談窓口の開設について」より。)

● 地域就職氷河期世代支援加速化交付金を活用し、イニシャルコスト 1,993 千円 (税抜)、年間ランニングコストは 25,667 千円(税抜)。

● 令和 5 年度事業費 37,500 千円(うち、地域就職氷河期世代支援加速化交付金(内閣府) 28,125千円)

解決における工夫点

「ひきこもり状態の方に対する支援」というと「ひきこもり状態を脱する」ことを目指した支援になりがちであったが、デジタル技術を活用することで、家の中にいながらでも社会と繋がり、働くことが可能になるのではないかという考えからの案。

事例による成果

● 利用者からは、「外出が難しいので、オンラインで相談できるのが良い」、「他の支援機関にはあまりない支援メニューに魅力を感じた」等の声があり好評であった。

● メール、チャット、Web会議システム等さまざまな方法でのオンライン相談に対応することで、相談のハードルを下げることができ、ひきこもり状態の方等の社会参加の一歩につながりやすくなった。

・相談窓口への相談件数延べ 2,882 件中 1,730 件(60 %)がオンラインによる相談であった。

● 正社員で就職された方や在宅ワークを始められた方など、新たな一歩を踏み出せた方がいた。

・令和 2 年度から令和 4 年度までの 3 年間で 254 人(実人数)のひきこもり状態等の方が相談につながり、そのうち 93人が在宅ワークを含む就労につながった。

事例の継続性

継続運用中

事例の運用期間

令和 2 (2020)年 6 月~継続運用中

参考資料

本事例は、「総務省 地域社会のデジタル化に係る参考事例集【第3.0版】」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。

■総務省

・総務省 地域社会のデジタル化に係る参考事例集【第3.0版】
https://www.soumu.go.jp/main_content/000949884.pdf

■京都府

・ 第4次京都府地域福祉支援計画 令和6年3月
https://www.pref.kyoto.jp/chiiki/documents/keikakuzennbun.pdf

・就職が難しい方への就業支援について【担当省庁】厚生労働省
https://www.pref.kyoto.jp/seisakuteian/documents/r3teian14.pdf

・多様なスタッフが安心して働ける職場とは~「誰一人取り残さない」職場づくりセミナーを11月30日に開催~ 令和4年11月22日
https://www.pref.kyoto.jp/koyoshien/news/press/2022/11/lconnectseminar.html

・令和3年度「京都府つながる・学ぶ・働く支援センター運営事業」に係る公募型プロポーザルの実施について
https://www.pref.kyoto.jp/koyoshien/news/r03l-connect.html

ー令和3年度「京都府つながる・学ぶ・働く支援センター運営事業」 募 集 要 領
https://www.pref.kyoto.jp/koyoshien/news/documents/01bosyuuyouryou.pdf

ー令和3年度「京都府つながる・学ぶ・働く支援センター運営事業」 企画提案仕様書
https://www.pref.kyoto.jp/koyoshien/news/documents/02shiyousyo_1.pdf

ー公募型プロポーザル方式による業者選定の評価及び候補者選定結果等の公表について令和3年3月29日
https://www.pref.kyoto.jp/koyoshien/news/documents/sennteikekka_1.pdf

・平成30年1月24日知事記者会見
https://www.pref.kyoto.jp/koho/kaiken/20180123.html

■京都市

・京都市におけるひきこもり支援の 在り方について (意見具申) 令和2年8月
https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000273/273771/02ikensushin.pdf

■Lコネクト

・Lコネクトとは
https://lconnect.jp/info/#article1

■Think&Act

・Lコネクト〜京都府つながる・学ぶ・働く支援センターは新メニューとともに運営しています。2022.05.02
https://www.thinkandact.jp/news/details/13

■nSearch

・令和5年度「京都府つながる・学ぶ・働く支援センター運営事業」
https://nsearch.jp/nyusatsu_ankens/63ea78fdd7a14511ab4d5e96

■PR TIMES

ひきこもり状態にある就職氷河期世代の方などを対象とした専用相談窓口の開設について
~「京都府つながる・学ぶ・働く支援センター(愛称「Lコネクト」)」の開設~ 京都府
 2020年6月16日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000417.000005484.html

■NEWSRELEA.SE

ひきこもり状態にある就職氷河期世代の方などを対象とした専用相談窓口の開設について 京都府  2020年6月16日
https://newsrelea.se/BVY45R

■両丹日日新聞 

・働くイメージ膨らます 北部初、府の無就業者向け体験ツアー 2024年09月12日
https://www.ryoutan.co.jp/articles/2024/09/96755/

事例に関する問い合わせ先

京都府商工労働観光部人材育成課
Tel: 075-414-487
E-mail: jinzaiikusei@pref.kyoto.lg.jp

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