展開地域名: 静岡県磐田市
解決すべき課題
■令和 4 年 9 月に発生した台風 15 号において、夜間の豪雨や冠水により、職員による情報収集が難しく、被害の状況が翌日まで分からない状況があった。
解決の手法
■災害時の情報収集を強化するため、令和5年4月から、㈱JX通信社が提供するリスク情報の配信サービス「FASTALERT」の利用を試験的に開始。本サービスは、同社ニュースアプリへの投稿情報や、SNS 等の情報を AI と専任チームで解析、デマやフェイクニュースを排除した上で、位置情報付きで配信するサービス。
● FASTALERT:
・SNS を中心としたインターネット上の膨大な情報から、「事件・事故・災害」といったリスク情報だけを抽出し、リアルタイムに配信するサービス。膨大な情報を効率的に分析・配信するために、AI による画像解析や自然言語処理の技術を活用、デマ情報の排除や位置情報の付与を行う。
・配信される情報は、24 時間 365 日体制の専門監視チームが人の目でダブルチェックを行う。これにより、迅速な情報提供と、デマ情報の排除といった正確性を実現している。
・FASTALERTは、㈱JX通信社の自社サービスであるニュースアプリ「NewsDigest」*を独自情報源として活用し、本アプリを通じて、ユーザーからの情報も収集している。同時に、アプリ上の「リアルタイム防災」マップを通じて、ユーザーに身の回りのリスク情報を提供する。
*NewsDigest:2014 年から㈱JX通信社が運営している累計 600 万インストールされた無料で使えるニュースアプリ
・Twitter、Instagram、YouTube、TikTok、Facebook などの各種 SNS から情報を収集しており、そのうち SNS の特性から Twitter からの収集が多くなっている。
・ニュースアプリ「NewsDigest」を独自情報源として活用していることで、特定の SNS に依存しない情報収集を実現している。
(Note JX通信社 / JX PRESS「【JX通信社独自】SNS情報収集・配信サービスの”課題”を補完するNewsDigestを活用した災害情報の収集・配信)」参照。)
・「NewsDigest」で住民が被害状況を投稿すると、JX通信社が AI を活用して収集・解析したうえで、投稿にあった情報を集約。
・同アプリには、身の回りのリスク情報を匿名投稿できる情報提供機能と、災害・事件・事故に関する状況を時系列かつ地図上で確認できるリアルタイム防災マップ機能がある。
・これにより、市の災害対策部門等は、市民からの投稿情報も踏まえた被害情報をリアルタイムで把握でき、市民は、アプリの地図上で災害等の情報を確認できる仕組みとなっている。
→ 磐田市は企業向けの速報システム「FASTALERT」で集約された情報を見ることができる。
→ 住民は「NewsDigest」で配信される情報を見ることが可能。
:住民はアプリの使用で被害情報の発信と確認が両方できる仕様。
(Note JX通信社 / JX PRESS「【JX通信社独自】SNS情報収集・配信サービスの”課題”を補完するNewsDigestを活用した災害情報の収集・配信)」参照。)
● また、令和 5 年 6 月 ㈱JX通信社と「情報収集・発信のデジタル化推進に関する連携協定」を締結し、同社の提供する速報型ニュースアプリの活用による防災対応の強化を進めている。市民からの情報提供が防災の鍵となるため、JX通信社の提供する「NewsDigest(ニュースダイジェスト)」を活用して、市民が市民総記者となって情報提供することを期待し防災対応の強化を進めている。
(磐田市「磐田市「ニュースアプリ「NewsDigest(ニュースダイジェスト)」」、SBS NEWS「“市民総記者”で共助へ アプリの活用促進で被害情報の共有進める磐田市【わたしの防災】」参照。)
● 令和 5 年度事業費 297 千円
解決における工夫点
ユーザーが NewsDigest に情報提供すると㈱JX通信社からユーザーへ Amazonギフトカードや PayPay などで使えるポイントを付与している。このポイント付与の仕組みの運用以降、投稿数が増加している。
(Note JX通信社 / JX PRESS「【JX通信社独自】SNS情報収集・配信サービスの”課題”を補完するNewsDigestを活用した災害情報の収集・配信」参照。)
事例による成果
● 実際に令和 5 年 6 月に発生した台風 2 号では、リスク情報の配信サービスを活用し、迅速に被害状況を把握したことで、災害救助法の適用を速やかに受けることができた。
・道路の冠水など住民による 12 件の SNS 投稿を確認、堤防が決壊した敷地川についてもいち早く情報把握できた。
(SBS NEWS「“市民総記者”で共助へ アプリの活用促進で被害情報の共有進める磐田市【わたしの防災】」参照。)
【展望】
地域防災訓練においても同サービスを活用し、自助の意識の向上を進めており、現在は、限られた職員のみ有償アカウントを付与しているが、今後さらに運用を拡大していく予定。
事例の継続性
継続運用中
事例の運用期間
2023(令和 5 )年 4 月~継続運用中
参考資料
本事例は、「総務省 地域社会のデジタル化に係る参考事例集【第3.0版】」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。
■総務省
・地域社会のデジタル化に係る参考事例集【第3.0版】令和6年5月31日
https://www.soumu.go.jp/main_content/000949884.pdf
■磐田市
・ニュースアプリ「NewsDigest(ニュースダイジェスト)」 ページ番号 1012903 更新日 2024年12月5日
https://www.city.iwata.shizuoka.jp/bousai_anzen/bousai/1012903.html
■Note
●JX通信社 / JX PRESS
・【JX通信社独自】SNS情報収集・配信サービスの”課題”を補完するNewsDigestを活用した災害情報の収集・配信 2023年8月3日
https://note.com/jxpress/n/nfee7ff77261f
■SBS
“市民総記者”で共助へ アプリの活用促進で被害情報の共有進める磐田市【わたしの防災】 2023年6月14日(水)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/sbs/541696?display=1
関連する図表・動画
● SBS
・“市民総記者”で共助へ アプリの活用促進で被害情報の共有進める磐田市【わたしの防災】 2023年6月14日(水)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/sbs/541696?display=1
事例に関する問い合わせ先
署磐田市危機管理課
Tel: 0538-37-2114
E-mail: kiki@city.iwata.lg.jp
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