展開地域名: 富山県富山市
解決すべき課題
富山市は中核市の中で最も広い市域面積を有しており、少子高齢化によるマンパワーと税収の減少避けられない中で、道路や上下水道などの社会インフラや市民サービスの維持管理が課題であった。
解決の手法
IoT等で活用できるLPWA網(省電力広域エリア通信)と、そこから得られたデータを管理・運営するためのIoTプラットフォーム(都市OS)からなる「富山市センサーネットワーク」(以下「センサーNW」という)を富山市全域に渡って市が独自に整備した。
すべての業務においてIoT化を検討し、費用対効果を鑑みたうえでIoT等の未来技術を活用した業務スキームへパラダイムシフトした。また新技術に係る国際的な競争が激化する中で、民間事業者へのIoT技術等の実証実験環境の提供や、官民データの共有化を図ることで、企業活動の活性化を促し、Society5.0におけるしごとの創生に繋げることを目指した。
解決における工夫点
■ 地域が担ってきた共助による活動力の低下
人口減少・高齢化により、今までの共助による「地域力」を担っていた成り手が急速に減少しつつある。それらに対応するため、新技術による新たな地域共助活動の在り方と、新技術に関する地域の意識醸成のため、パイロット事業として小学生にGPSトラッカーを貸与して登下校路データを収集し、富山大学と共同で解析・「見える化」する事業を実施。得られた結果を小学校、PTA、自治振興会、各種交通ボランティア団体と共有して、地域のこどもの安全・安心の向上につなげる事業を展開している。
■ Society5.0に向けた新産業の育成、産学官連携による人材育成
富山市は化学工業や一般機械などの製造業が大きなウェイトを占める産業構造となっているが、IoTやAIなどの新技術を活用した国際的な開発競争が激化する中で、地域産業が競争力を維持・発展させるためには、新産業や人材育成が必要不可欠である。 それらを支援するために、民間事業者や大学等の研究機関に対してセンサーNWを実証実験環境として無償提供し、Soceity5.0における新産業の促進を図る公募事業を実施している。 また市民共創による地域課題の解決や新規ビジネスの創出を目指し、「とやまシティラボ」プロジェクトを展開。共創のための拠点施設として富山駅前に「Sketch Lab」を設置している。
事例による成果
■市域全体をカバーする通信インフラを市が独自に保有することで、一部エリアに限定されない市域全体での業務の置換が可能である。
■市がプラットフォーマーとなって市域全域に渡る通信インフラを提供することで、沿岸部や市街地、山間部など様々な実証実験フィールドを官民双方に提供でき、様々な実証実験を安価に展開できる。
■市が通信インフラを保有することで、追加費用をかけることなく、数千台レベルの IoT 技術を活用した事業を展開できる。
事例が与えた影響
■こどもを見守る地域連携事業を実施:小学校 43 校、延べ 6,556 名児童が参加。
■ Society5.0 に向けた新産業の育成、産学官連携による人材育成
民間事業者向け実証実験公募事業:61 事業採択。
■市民共創の拠点施設「Sketch Lab」会員: 202 名参加。
■ 官民インフラの適正な維持管理
IoT 技術等を活用した各種事業の予算化:河川水位監
視システムや消雪装置稼働状況把握システムなど7つの関連事業を実施。
参考資料
本事例は、「2022年度 夏のDigi田甲子園 富山県の取り組み」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。
■2022年度 夏のDigi田甲子園 富山県の取り組み
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/toyama.html
■「富山市センサーネットワーク」について
https://www.city.toyama.toyama.jp/kikakukanribu/smartcitysuishin/toyamaSN.html
■富山市センサーネットワークを利活用した実証実験公募
https://www.city.toyama.toyama.jp/kikakukanribu/smartcitysuishin/toyamasc_koubo.html
■平成30年度予算 データ利活用型スマートシティ推進事業(追加公募)
に係る採択候補先の選定結果
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_02000261.html
■富山市スマートシティ推進の取り組み(見守り事業)
https://www.chisou.go.jp/tiiki/toshisaisei/mini_symposium/20211216/05_r3dai3kai_04toyamasi_kouensiryou.pdf
■スマートシティ向け基盤の実装で都市課題を解決
https://jpn.nec.com/smartcity/case/toyama.html
■【新産業の育成など視野】富山市がスマートシティー実現へ向けICT活用 その取り組みに迫る
https://www.kensetsunews.com/web-kan/486312
■こどもを見守る地域連携事業
https://www.city.toyama.toyama.jp/kikakukanribu/smartcitysuishin/toyamaSN_kodomo.html
■SketchLab
https://sketch.lab.city.toyama.toyama.jp/
事例に関する問い合わせ先
企画管理部スマートシティ推進課
smartcity-01@city.toyama.lg.jp
076-443-2006
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