展開地域名: 埼玉県深谷市
解決すべき課題
従来の行政運営では、地域の課題を行政による公助を中心に対応してきたが、人口減少・少子高齢化という社会情勢の変化において、これまでにない地域の課題が発生してくることが予測される。
限られた資源の中で、そのような課題を解決し、より魅力的で持続的な地域を創出するためには、地域通貨を市民の協力を促進させるためのツールとして活用し、行政だけではなく、住民・地域事業者が一体となった自治体運営が必要であると考える。
解決の手法
深谷市は、郷土の偉人である渋沢栄一翁の教え「論語と算盤の精神(道徳と経済は一致しなければ仕組みや社会は長続きしない)」のもと、経済的な側面の枠を越える新たな地域通貨事業を令和元年度から実施している。
解決における工夫点
地域通貨を発行するためには、様々なコスト(決済や精算コスト等)が発生する。過去の地域通貨事業の多くがそれらのコストを利用者、事業者による手数料負担で賄うというモデルで実施してきたが持続してこなかった。
本取組では、行政事業での活用により、成果向上・歳出削減を図る。さらにコスト削減効果を可視化し、その一部を地域通貨の発行原資として運用することで、持続させていくという新たな地域通貨モデルが特徴的である。
また、既存の行政評価では事業実施後の測定・評価となり、実績による事業改善は翌年度以降となるものが多い。今後急速に変化する社会情勢においては、より迅速な対応が求められるため、既存の仕組みでは対応が難しい。
本取組は、デジタル技術を用いることで、リアルタイムで効果を把握、その活用を行うことで、的確な行政判断とスピーディーな対応による効果的で効率的な行政運営が可能となる。
事例による成果
■決済基盤の構築について(令和 4 年 6 月 1 日時点)
市内取扱店店舗数:約 730 店舗 / 総流通額:約 24 億円分
利用アカウント数(累計):約 12 万アカウント / 活用総事務事業数:32
■行政コストの削減と観光回遊での活用について
・郵送料削減
遠隔でのポイント付与が可能であるため、普通郵便で郵送後に、ポイント付与を行った。結果として、従来発生する簡易書留の費用(320円)を削減することができた。
320円×18,000件=5,760,000円のコスト削減
・手数料削減
口座振替の納付方法を口座振替に変更した方に、地域通貨をインセンティブとして活用することで、口座振替の申込者数が前年比2倍程度に増加した。 これにより、市の手数料を削減するだけでなく、督促通知発送などの事務負担も減らすことができた。
・観光回遊施策での活用
デジタルスタンプラリーにより、市内回遊をした方の景品としてネギーを活用した。結果として、市内回遊を可視化により実現することができた。
事例の継続性
継続運用中
事例の運用期間
令和元年度~継続運用中
参考資料
本事例は、「2022年度 夏のDigi田甲子園 埼玉県の取り組み 」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。
■2022年度 夏のDigi田甲子園 埼玉県の取り組み
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/saitama.html
■深谷市地域通貨ネギー
http://www.city.fukaya.saitama.jp/kurashi/kurashi/1590738016701.html
■広報ふかや 2021年10月号
http://www.city.fukaya.saitama.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/202110%20a3all.pdf
■市長記者会見発表内容概要(令和3年4月)
http://www.city.fukaya.saitama.jp/soshiki/hisho/hisho/tanto/sicyo/shityokisyakaikenhappyo/kisyakaikenR3/1619483203020.html
■埼玉県深谷市の地域通貨「negi(ネギー)」、3年間で700店舗超に拡大 地域経済の活性化だけでなく行政のコスト削減にも活用
https://paymentnavi.com/paymentnews/116449.html
■深谷・地域通貨「ネギー」20%還元に予算2億円 年末年始、市内で買い物促す
https://news.yahoo.co.jp/articles/9fda21eebc1ff8ff0de690af50808a4f8b902525
■プレミアム30% 電子「ネギー」 深谷市が地域通貨を販売
https://www.tokyo-np.co.jp/article/64989
■トラストバンクが提供する、自治体向けデジタル地域通貨プラットフォームサービス「chiica(チーカ)」が埼玉県深谷市の子育て世帯の支援事業にて採用
~ 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける子育て世帯の支援事業を支援 ~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000598.000026811.html
■地域通貨を住民に促して「地域内消費」を活性化させる【自治体(深谷市)の取組事例】
https://www.jt-tsushin.jp/interview/jt20r_fukaya/
関連する図表・動画
■2022年度 夏のDigi田甲子園 埼玉県の取り組み
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/saitama.html
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