広島県三原市「「アナログ×デジタル」で高齢者簡単予約とコロナワクチン迅速処理の実現」

展開地域名: 広島県三原市

分野:
住民窓口サービス
医療
誰一人取り残されない政策
キーワード:
自動化
業務効率化
ワークフロー
コミュニケーションツール
AI
IoT
ロボット

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解決すべき課題

■ワクチン接種の一回目で,65 歳以上の市民(約 32,000 人)のワクチン予約は,電話×IT(インターネット)での予約受付からスタートした。受付開始後は,担当課の電話は鳴りやまないばかりか,他の課の電話も鳴り続ける状態,市民側からは「ネット予約が分からない」、「電話がつながらない」、という大きな不満があった。IT は使えない高齢者が多く、市役所窓口に多くの市民が並んで待つ状況が発生し、たくさんの苦情と大きな不満を残し、一回目の予約受付は終了した。

● そこで高齢者が安心して申し込めるアナログの方法と、多くの処理が発生する行政側の手続き簡素化の検討を開始した。

解決の手法

■アナログ × デジタルの組み合わせを使ったシステムを導入。三原市が 60 歳以上の市民(約 38,000 人)に対し、円滑に接種予約してもらうことを目的に、市であらかじめ集団接種の日程を指定した通知(仮予約通知)を送付した。仮予約通知を受け取った対象者は、① 集団接種を受ける、② 病院で接種する等、選択肢を選び、はがきで返信する。返送されたはがきを AI-OCR(文字読み取り技術) で読み込み、RPA で集計し台帳作成する、というハイブリッド対応で迅速確実に処理を進める方法を導入。

● 60 歳以上の市民のコロナワクチン接種予約において市民との接点はアナログ:

・一人ひとりの集団接種可能日を郵便でお知らせし、はがきを返信するだけで申請できるよう、申請手続きを簡易化した。

● 市役所の事務処理ではデジタル:

・AI(人工知能)を搭載した OCR(文字読み取り技術)で市民からの返信返信はがきを読み取りデータ化。データ化した情報は RPA(ロボット技術)で自動処理しデータ集約する。

解決における工夫点

三原市では,デジタルファースト宣言により、行政のデジタル化を進め、誰一人取り残されない政策につなげていくこととしている。本取組については、市民のデジタル活用について個人差があるという前提に立ち、誰一人取り残さないという視点により、あえて予約方法をアナログ化(仮予約通知)し、市民に対し円滑な予約方法を展開するとともに、そこから発生が予想される事務をデジタル技術により省力化・効率化しており、アナログ × デジタルの効果的な融合による事業実施が実現した。

事例による成果

● 市民側では、はがきに必要事項を記入し投函するだけで申請ができるため、ネット予約が分からない、電話が繋がらなくて予約ができない、といったような状況は避けられた。

● 事務補助員等約4名 ×1か月程度の事務量を想定したが、時間外に稼働する RPA 等の技術によりその事務はなくなり、正確な接種予約リストが作成できた。

● 市役所側では、今まで 35000 件分の事務処理について、入力、チェック作業で 624 時間かかっていたのが、AI-OCR と RPA を使うことによって 29 時間までに処理時間を短縮できた(595 時間の大幅な短縮)。

 ≪想定された事務量≫

 ① 入力 1 件/1 分 × 35,000 件= 584 時間(A)
 ② 職員によるダブルチェック・エラーチェック 2 時間/日 × 20 日= 40 時間(B)

  A+B=624 時間

      ↓

 ≪AIOCR × RPA の活用≫

 ①入力 100 件/5 分= 29 時間(▲95.3 %)
 ② 職員によるダブルチェック・エラーチェック 0時間(夜間に自動で出力)


● 結果的にスムーズなワクチンの接種予約が実現した:

① 接種者本人が予約する手間を省くことで,手軽に接種ができた。

② 事務の効率化を行い、接種に向けた広報にリソースを割けたことにより,60 歳以上の市民の約 95 % が速やかに1回目のワクチン接種を行うことができた。(令和 4 年 5 月 23 日時点として、2 回目接種率 93.3 %)


【今後の展望】

本取組を参考に、他業務においてもデジタル化は推進しつつも、対象者に寄り添う視点・着想・姿勢でアナログでの対応が必要な部分については柔軟に対応できるよう検討する。

事例が与えた影響

アナログ × デジタルの組み合わせで、簡単手続きによる市民の安心感、事務効率化によるワクチン接種の迅速化に繋がった。

事例の継続性

継続運用中

参考資料

本事例は、「2022年度 夏のDigi田甲子園 広島県の取り組み」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。

■デジタル田園都市国家構想 DIGIDEN

●2022年度 夏のDigi田甲子園

・広島県の取り組み
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/hiroshima.html

・推薦調書
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/pdf/34-2.pdf

●デジ田メニューブック:

・「アナログ×デジタル」で高齢者簡単予約とコロナワクチン迅速処理の実現
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0113.html

■政府インターネットテレビ 

・広島県三原市|「アナログ×デジタル」で高齢者簡単予約とコロナワクチン迅速処理の実現|夏のDigi田甲子園
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg24682.html

■三原市

・新型コロナウイルス感染症についての情報 60~64歳の人のワクチン接種について 記事ID:0127336  2021年8月20日更新
https://www.city.mihara.hiroshima.jp/site/coronavirus/127336.html

・ワクチン接種で利用したタクシー料金の助成について
https://www.city.mihara.hiroshima.jp/site/coronavirus/127339.html 記事ID:0127339 更新日:2023年7月6日更新

・市長定例会見 令和4年7月6日(水曜日)10時00分~
https://www.city.mihara.hiroshima.jp/uploaded/attachment/128432.pdf

・令和4年度夏のDigi田甲子園 本選(全国大会)
https://www.city.mihara.hiroshima.jp/soshiki/5/145460.html

・News Release 「夏の Digi 田(デジでん)甲子園」三原市の取組が全国大会に出場します 令和4年6月16日
https://www.city.mihara.hiroshima.jp/uploaded/attachment/128425.pdf

・令和4年2月三原市議会定例会 施政方針
https://www.city.mihara.hiroshima.jp/uploaded/life/138510_436986_misc.pdf

関連する図表・動画

●デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
・【広島県三原市】アナログ×デジタル」で高齢者簡単予約とコロナワクチン迅速処理の実現
https://www.youtube.com/watch?v=672eJevVnC0

事例に関する問い合わせ先

保健福祉課
Tel: 0848-67-6205
E-mail: sunsea@city.mihara.hiroshima.jp

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