オープンデータに誤りがあると、職員が責任を取らされるのではないですか?

Q. オープンデータに誤りがあると、職員が責任を取らされるのではないですか?

オープンデータを適切な利用ルールのもとで公開し、利用者の目に触れやすいところに無保証・免責について掲示することにより、オープンデータの誤りによって利用者に何らかの損害が発生したとしても、データ公開者である自治体の職員が責任を負わないことを表明できます。

内閣官房の「オープンデータをはじめよう ~地方公共団体のための最初の手引書~」によりますと、オープンデータを公開する際に広く使われている利用ルールである「クリエイティブ・コモンズ 表示」(CC BY)において、無保証および責任制限の条項が含まれていることが明記されています。

<ステップ4> 2. 利用ルールの留意点(5)

■データ利用に関する無保証、免責について

自治体がオープンデータとしてデータを公開するに当たっては、コンテンツの正確性等は保証しないこと、コンテンツを用いて行う一切の行為に公表者は責任を負わないことを表明する必要があります。
CC BY(<ステップ4> 2. (1)参照)には無保証および責任制限の条項が含まれています。
とはいえ、利用者に対して確実に通知すべき事柄であるため、利用者の目に触れやすいところに、無保証、免責について掲示することが望ましいです。
ただし、利用ルール(CC BYの無保証および責任制限条項等)の条件と矛盾する内容にならないよう注意してください。

(出典: 内閣官房「オープンデータをはじめよう ~地方公共団体のための最初の手引書~」p.55

上記の資料は「利用者の目に触れやすいところに、無保証、免責について掲示する」ことを勧めています。
オープンデータを公開している国や地方公共団体の中にも、免責事項を明記した利用ルールを公開しているケースが多くあります。

例1: 日本政府のオープンデータカタログ「DATA.GO.JP」 第7条

公表者は、本サイトで公開しているコンテンツの正確性、網羅性、特定の目的への適合性等について、一切保証しません。公表者は、本サイトで公開しているコンテンツを用いて行う一切の行為(それらを編集・加工等した情報を利用することを含む。)について、何ら責任を負うものではありません。公表者が、コンテンツにおいて、第三者に権利があることを表示・示唆している場合であっても、その表示・示唆は網羅的なものではありません。

(出典: データカタログサイト DATA.GO.JP の利用規約 https://www.data.go.jp/terms-of-use/terms-of-use/

例2: 「政府標準利用規約(第2.0版)」の「6) 免責について」

6) 免責について

ア 国は、利用者がコンテンツを用いて行う一切の行為(コンテンツを編集・加工等した情報を利用することを含む。)について何ら責任を負うものではありません。

イ コンテンツは、予告なく変更、移転、削除等が行われることがあります。

(出典: 政府標準利用規約(第2.0版) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densi/kettei/gl2_betten_1.pdf

例3: 京都府オープンデータカタログサイト 利用規約

(1)本府等は、当サイトに掲載する情報及び各種サービスについて、その内容の完全性・正確性・有用性・安全性等については、いかなる保証を行うものでもありません。また当サイトに掲載されている情報は、本府等の活動に関する情報の一部であって、その全てを網羅するものではありません。

(2)サービスを利用したこと、利用できなかったこと、サービスに掲載されている情報に基づいて利用者が下した判断および起こした行動によりいかなる結果が発生した場合においても、本府等はその責を負いません。

(3)利用者の本規約違反もしくは利用者による第三者の権利侵害に起因又は関連して生じた全ての苦情や請求については、利用者自身の費用と責任で解決するものとし、本府等は一切責任を負いません。

(4)当サイト上の掲載情報は、あくまでも掲載時点における情報であり、当サイトの全ての掲載情報について、事前に予告することなく名称や内容等の改変や削除、サービスの停止を行うことがあります。

(5)当サイトのアドレスは、トップページを含めて事前に予告することなく変更する場合があります。当サイトの掲載情報の改変、更新、削除や当サイトのアドレスの変更により発生するリンク切れ等表示に関わる不具合、その他一切の影響や利用者に発生する損害について、本府等はその責任を負いません。

(出典: 京都府オープンデータカタログサイト 利用規約 https://www.datastore.pref.kyoto.lg.jp/tos/)

例4: 大阪市立図書館 オープンデータについて

大阪市立図書館Webサイト(https://www.oml.city.osaka.lg.jp/)で公開しているデータのうち、以下の表示があるデータは、オープンデータとして取り扱います。

なお、このサイトで公開するオープンデータは、正確な情報となるよう努めていますが、不正確な情報の混在等による利用者の損害等、一切の行為について大阪市立図書館はいかなる責任も負いません。

(出典: 大阪市立図書館 オープンデータについて https://www.oml.city.osaka.lg.jp/index.php?page_id=1633

このように、多くのオープンデータサイトにて、職員が免責されていることを利用ルールとして明記しています。

自治体がオープンデータとしてデータを公開するに当たっては、上記にならって適切な利用ルールを使用するとともに、データの正確性等は保証しないこと、データを用いて行う一切の行為に対してデータ公開者は責任を負わないことを明記するようにしてください。ただし、利用ルールとして「クリエイティブ・コモンズ 表示」を利用する場合は、このルールが規定する無保証および責任制限条項等と矛盾する内容にならないように注意してください。

なお、「クリエイティブ・コモンズ 表示」ライセンスでは、以下に引用するリーガルコード内「第5条 無保証および責任制限」において、データの内容を保証しないこと、データに起因する損害に対して可能な限り免責されることが記載されています。

第5条 無保証および責任制限

許諾者が別途合意しない限り、許諾者は可能な範囲において、ライセンス対象物を現状有姿のまま、現在可能な限りで提供し、明示、黙示、法令上、その他に関わらずライセンス対象物について一切の表明または保証をしません。これには、権利の帰属、商品性、特定の利用目的への適合性、権利侵害の不存在、隠れた瑕疵その他の瑕疵の不存在、正確性または誤りの存在もしくは不存在を含みますが、これに限られず、既知であるか否か、発見可能であるか否かを問いません。全部または一部の無保証が認められない場合、この無保証はあなたには適用されないこともあります。

可能な範囲において、本パブリック・ライセンスもしくはライセンス対象物の利用によって起きうる直接、特別、間接、偶発、結果的、懲罰的その他の損失、コスト、出費または損害について、例え損失、コスト、出費、損害の可能性について許諾者が知らされていたとしても、許諾者は、あなたに対し、いかなる法理(過失を含みますがこれに限られません)その他に基づいても責任を負いません。全部または一部の責任制限が認められない場合、この制限はあなたには適用されないこともあります。

(出典: クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際、https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode.ja

PAGE TOP